親の自己肯定感を守る人

親(特に母親)の幸福度と子どもの満足度の間には、明らかな相関があるそうです。保育の現場にいると肌でそれを感じます。
子どもの自己肯定感を高めることをいくつか記してきましたが、子どもの自己肯定感を高めることと同じくらい大事なことが、親自身の自己肯定感を高める(あるいは損なわない)ことだと思います。単純に言うと、親自身が自分を大事にすることです。
しかし、子育てはストレスやプレッシャーと全く無縁でいることはほとんど不可能です。もしも間違った育て方をしたら、この子の人生はどうなってしまうのか。子どもの人生を背負う不安があります。自信を無くし、思い通りに応えてくれない子どもにイライラし、願ったように助けてくれない周囲にイライラして、子育てを楽しめなくなると、自己肯定感は下がっていきます。それが子どもに悪影響を与えるというのですから、ひどい悪循環に陥り、辛さは増すばかりです。
親自身が「完璧」を目指して、そうはなれない自分自身をダメだと思っていては、子どもと楽しく過ごすことはできません。「完璧」を目指すことはやめてみましょう。実際、完璧な親というのは存在しません。また、親としての評価は、自分という人間への評価ではありません。
子どもためにやってあげたいことはたくさんあっても、体力も気力も財力も限られています。全部はできません。だから、「やらない」という選択肢があることを覚えておきましょう。私自身も幼稚園をあずかるものとして、子どもたちのためにやってあげたいこと、用意してあげたいものは沢山あります。でもそこで「やらない」という選択肢を意識して加えます。その方が、現実的で幸福な選択を見いだせることが多いです。
そして、親の自己肯定感を守る最大最強の味方は子どもです。子どもは親を受け入れることについて、この世で最も愛にあふれ、驚くほど許容範囲は広く、何度でも赦してくれる存在です。子どもたちは、殆ど無条件に私たちを信頼して自分を預け、私たちの存在を探し求めてくれるほどに重んじ、愛情を注いで、私たちの自己肯定感を守ってくれる人なのです。

2019年04月19日