ダメと言われるほどやりたくなる

動きが活発になったお子さんに一日何回ぐらい「ダメ!」と言っているでしょうか。多分、ほどんどの場合、効果がないのではないかと思います。というよりも、ほぼ効果はある特殊な場合を除いてゼロでしょう。
なぜなら子どもは「ダメ!」と言われるほどやりたくなるのです。なぜなら、「脳には否定語が通じない」からです。例えば、私は蛇と虫では、虫の方が苦手なタイプです。そこで、「虫のことは考えないで」と言われると、むしろ苦手な「虫」がすぐに頭の中に浮かんでしまします。つまり、「~しない」、「ダメ」という言葉を言われても否定の効果はまずゼロなのです。大人は「ダメ」とされていることを表に出しませんが、子どもは「思考=行動」あるいは「思考=おしゃべり」ですから、この点がさらに顕著に見られます。
そこで、子どもに「ダメ」を伝えるときの最も良い手段は、肯定することでしてほしくない行動から遠ざけるということになります。例えば、机の上にのってほしくないのであれば、「この椅子に座ってね」とか、「この台の上はのってもいいよ」と、肯定的な代替案を示すことです。走ってはいけないところでは、「ママ(パパ)と一緒に歩いてくれるかな」と示し、大きな声を出してはいけないところでは、わざと耳元でこしょこしょと「内緒話をしようか」と語りかけるといった具合です。その際に「ちょっと難しいけどできるかな・・・」と切り出すとさらに子どもは指示を聞いてくれることが多いです。ただ、子どもは次々と新しく出来ることを求め続けているので、「出来てしまった代替案」では通じなくなります。大変ですが試行錯誤しながらいろんな言葉をかけなければなりません。
「ダメ」という言葉は、聞いた瞬間に脳の思考を停止させます。そのため聞くべき言葉が排除されてしまうと思ってください。「ダメ」がきっかけとなって、その後の話を、「聞く必要のない話」と判断するようになります。
「ダメ!」の通じる唯一の例外は、危険に近づこうとする子どもの行動を「停止」させる時です。その時には、「そんなことをすると怪我をするかもしれないよ」ではなく、はっきりとお腹に力を入れて「ダメ!」と言ってください。その際に説明の言葉はいりません。子どもが停止し、危険から遠ざけたところで子どもの緊張をほぐしてから、丁寧に説明してあげてください。

2019年06月03日