使いやすければ、できる

キリスト教会には幼稚園を併設している教会がいくつもあります。牧師の関係でそういった教会へ行くと、お願いして幼稚園を見せていただきます。どの幼稚園も様々に子どもたちの環境を工夫しておられます。
ある幼稚園では子どもたち一人一人に自分のぞうきんを用意していました。子ども自身で拭くためでした。子どもが水をこぼした時など、「ぞうきんを取りに行こうね」と声をかけると、自分のぞうきんを持ってきて自分で後始末をするようになるそうです。子どもと一緒にぞうきんで水を拭き、洗って、絞って、干すところまで一緒にやって教えると、やがて何も指示しなくても自分でぞうきんを取りに行き、自分で拭いて、洗って、干すようになるのだそうです。
子どもが失敗したとき、叱ったり、注意したりするのではなく、「対処」を教えるということが大切なのだと教えてもらいました。失敗した時を、「対処」を教える機会と考えて、最初にきちんと教えると、同じことがあった時子どもは自分で対処できるようになるのです。
失敗したということは子どもにもすぐに分かります。いけないことをしたと自覚しています。その時に、叱られるとやがて大人の声に耳を貸さなくなります。聞こえないふりをして無視をします。不愉快だからです。これではいつまでたっても子どもは成長しません。成長とは、失敗を経験して対処を覚えて得られます。
子どもに対処を教えるときに、先ほどの園が用意されていた道具が、「自分のぞうきん」でした。最近は、ぞうきんも手軽に購入することができますが、購入できるぞうきんは幼児の手には大きすぎます。使いにくいのです。使いにくいとうまくできませんから、やりたくなくなります。それでは対処が身につきません。そこで、子ども用のものは、子ども用に工夫することが大切なことになります。ぞうきんであれば、子どものてのひらのサイズに合わせることが大事です。大体大人サイズの4分の1ぐらいです。このサイズですと、子どもの手で握ると絞ることができます。
子どもにとって失敗もの対処も「遊び」となれば、楽しく覚えていきます。やって見せ、一緒にやって、最初に子ども用の物を準備して丁寧に教えると、子どもはどんどん「大人の仕事」をやってみたくなるものです。先ほどの園で工夫されていた子どもの「自分のぞうきん」などは、取り入れてみると良いと思います。

2019年06月06日