やらない子

子どもはとてもプライドの高い存在です。このことは、子どもと一緒に生きる上で大事な前提だと私は考えています。「子どもだから、いいだろう」、「子どもだから、明日には忘れてるよ」と思うのは間違いです。子どものプライドにかかわることは、余程のことがないと子どもの意識の中から取り除けられることはありません。いわゆる「トラウマ」となるのです。
幼稚園でパズルで遊んでいる子を必ず邪魔をする子がいました。その子に「一緒にやらない」、「やってみる?」と誘っても「やらない」といって逃げてしまします。しかし、しばらくするとまたやってきて、組み上げられたパズルをわざと崩したり、ピースを取って持って行ってしまうといった邪魔をします。
なぜ、そんなことをするのかというと、その子はパズルに興味はありますが、パズルをやる自信がないのです。だから他の子がしているのを邪魔するのです。
子どもは、できないことを恐れます。挑戦してできるかどうかわからないものには、なかなか取り組めません。新しいものになると、失敗するのが怖いのです。
失敗してもいい、という経験をさせたいと教師は願いますから、何度も積極的に誘います。しかし、どうしてもやらないという時には、その子のできそうな他の遊びに誘います。
その時パズルに興味を示していても、プライドが邪魔をすることがあります。そのような時には、無理強いせずに、別のやりたいことを探してあげる方がよいです。
「レディネス」という概念があります。子どもは自分自身の育ちの中で、準備ができたときに必要なものに取り組んで自分自身を育てていくという考えにつながる概念です。興味を抱いても、手の届かない時、手の出せない時はレディネスが整っていないのです。だからといって放っておいては、レディネスの整った他の挑戦の機会を逃してしまうかもしれません。レディネスの整わないところから子どもの興味を別に向ける手助けをするのも大事なこと務めです。

2019年07月25日