会話を膨らませる

話し合いのスキルは、これからの時代に一層重要なものとなるでしょう。その時に、会話が膨らむことは大事なことです。対話を継続する術が必要になります。
会話が膨らむためには、受け取った言葉を上手に投げ返すことが大事になります。ですから人と話をするときには、何かしらの形で返すのが礼儀です。黙殺や発言を馬鹿にするようなことはしてはいけません。子どもと話す時にもこの原則は守られているでしょうか。
子どもが大人に話しかけるときは、話の結論や正解を欲しているというよりも、アピールや共感であることの方が多いです。
大人がよくやってしまうのが、正解を教えてしまうことです。これですと、会話は終わってしまいます。多くの場合、子どもは不満を感じます。大人は結論や正解が分かっても、会話の最後は子どもに譲るように会話を継続することを目指す方が、子どものためになります。質問を重ねて、答えを知っているつもりの子どもが、黙って自分の知っているはずの答えについて考え始めてしまうようになる方がいいのです。知らないことが沢山ある、という感覚こそ成長の力です。「知っている」と思ったところで、終わるのは、会話も成長も同じです。
「それでどうしたの?」とか「それからどうなったの?」とか聞いてみたり、子どもが言ったことを「逆上がりができたんだね」、と言葉をそのまま返したり、頷いたり、相槌を打つだけでも相手の話を促すことができます。促して話すことで、互いに相乗効果をもって内容は高まり、深まり、広がり、思いもかけない世界へと進んでいきます。
幼稚園で子どもたちを見ていると気がつくことですが、子どもはお友だちの呼びかけや先生の話を、かなりの場面で「無視」しています。興味のあることに集中していて聞こえないから、結果的に呼びかけに応えられないということはあります。しかし問題は、明らかに意図的に無視をしている場面が意外なほど多くあることです。つまり継続の術ではなく、無視する術を発達させているのです。
会話も、無視も、子どもが手本としているのは大人です。それも最も身近な大人である親です。大人が意識して子どもとの会話を繋げていかないと、話を続ける術を子どもは学べません。子どもの話をおもしろがる。楽しむ。もっと知りたいと思う。そんな心をもって子どもと会話をしていきたいと思います。

2020年01月24日