衝動と悪化

子どもと一緒に過ごしていると、突然の予想できない動作に出会います。個人差がありますが、おおむね子どもたちの行動には衝動的なものが多く見られます。それらは時として怪我やトラブルにつながります。
さらに、行動がドンドンとエスカレートします。調子に乗るということでしょうが、ふざけてしまったり、力が入り過ぎたり、嫌がられても何度も続けて他の子とトラブルになります。
これらの行動の原因には、特定のホルモンが関わっているとか、進化の過程で身に着けた性質とか、諸説あるようですが、ともかく子どもは衝動的に行動し、行動をエスカレートさせて、困った事態を自ら招く、そういった存在だと理解しておいた方がよいと思います。
戦いごっこはいつの間にかケンカに発展します。機嫌よく遊んでいたと思ったら、目の前を通りかかった子にいきなりパンチをします。滑り台の上から、突然ジャンプします。ニコニコ笑って、人の顔に砂を投げつけます。お札もティッシュも関係なくビリビリと破いてしまいます。鼻の穴や耳の中にドングリやビー玉を入れます。なぜそんなことをするのかについて、子ども自身に理由を尋ねてもわかりません。体が勝手に動くと捉えた方がよいと思います。
実は、不慮の事故で亡くなる子どもは、病気で亡くなる子よりずっと多いのです。子ども特有の衝動性や行動を悪化させてしまう性向とが事故原因と結びついていることが多いと思われます。
子どもは衝動的な行動をとり、行動をエスカレートさせることが「当たり前」の存在だと理解して、予想と備えをできるだけ広げることが必要です。
幼稚園では、園外に出るときには必ず手をつないで道を歩きます。その際、年齢の低い子に車道側を歩かせないようにします。止まっている車であってもできるだけ避けます。特に普段から衝動性が強い子は、必ず教師が手をつなぎます。
「道を歩くときは手をつなぐ」というたった一つのルールが備えられて、守られるだけで子どもを多くの衝動的に起こる危険から守ることができます。衝動的な行動がみられる時期には、普段から、関わりや移動、遊びの中で安全を最優先に考え、目を離さず、できるだけ手の届く範囲で行動を見守ることが大事です。

2020年02月13日