子育ての目標

全国にたくさんの幼稚園がありますが、どこも例外なく必ず「幼稚園の方針」や「教育目標」があります。西荻学園幼稚園の方針は、「人格の基礎となる人間力を育て、人生を開拓し、世界に貢献する人へ」です。これは聖書の「平和をつくる者は幸いです。その人たちは神の子どもと呼ばれるからです」という言葉に基づいています。さらに方針の下で「好奇心を育てる」「考える習慣を育てる」「自己主張を育てる」「協調性を育てる」「伸びしろを信じる」という教育目標があります。
方針や教育目標は、「この幼稚園では、こんなふうに子どもたちを迎え、こんな人に育つように教育をします」という「教育のビジョン」です。もちろん小学校、中学校、高校。大学も方針や教育目標を持っています。インターネットで調べればすぐに見つけられます。幼稚園や学校の教師は力を合わせて方針に従って教育目標の達成を目指しているわけです。
一方で、ご家庭ではなかなか「子育ての目標」として「どんな子に育てたいのか」という「子育てのビジョン」がなんとなく漠然としたものはあっても、家族の間で明文化されていないことが多いようです。保護者と面接をすると「うちの方針で~」と言われることが多いのですが、明文化されていないのでご両親でやや食い違った理解をしておられることもあります。「父親は~というほうしんなんですけれど、私としては~であって欲しいんです」という方もいます。
方針や目標がないというのは、いわば設計図なしで家を建てようとしているとか、目的地が分からないまま地図無しに初めての地を旅するようなものです。灯台の灯りがない暗闇の航海かもしれません。家の見栄えは良くでも土台がしっかりしていなかったり、同じところをぐるぐる回って立ち往生したり、取り返しのつかない事故を起こさないために「設計図」「地図」「灯台」となる方針や目標は家庭の中で明文化されることをお勧めします。
親としての役割を果たしていくために、どんなことを良いこととして子どもに与え、何を悪いこととして遠ざけるのかという判断は、その場の雰囲気や感情ではなく、明文化された方針と目標による方が、行き当たりばったりにならず一貫性のある親の態度を子どもに示すことができます。
親の大切にする方針と目標は、子どもにとって言葉よりも一貫性のある人間としての親の「模範」によって伝わります。ぜひ、ご家庭で方針と目標を一度は話し合ってみてください。決して無駄にはならないことです。

2020年03月06日