テレビ・ビデオは見せてもいいのか

子どもたちはテレビのヒーローやヒロイン、プリンセスやアイドルが大好きです。毎日のように、ウルトラマンや何とかレンジャーになった子どもたちに私は攻撃されています。それもまた、大事な体験です。そのことを通して、様々な抽象的な概念を子どもたちは遊びの中で獲得していきます。

ところで、幼児期の子どもに何分くらいテレビ等の映像を見せていいのか、ということについては、日本小児科医会が提言を発表しています。https://www.jpa-web.org/dcms_media/other/media2006_poster01.pdf

「2歳までのテレビ・ビデオの視聴は控えましょう」、「授乳中、食事中のテレビ・ビデオの視聴はやめましょう」、「すべてのメディアへ接触する総時間を制限することが重要です。1日2時間までを目安と考えます。テレビゲームは1日30分までを目安と考えます」、その他、全部で5つの提言があります。

子どもが映像などを見て反応したり、感動したりというように、頭と心を働かせることのできる時間は30分程度が限界です。それ以上になると、流れている映像を見ているだけ、の状態になります。

テレビやゲームの映像を視聴することは私たちの脳に快感をもたらします。そのため子どもは静かに没頭して何時間でも見ることが可能ですが、それは「何も考えないで、快感に引き込まれている時間」を過ごしているということです。幼児期にそういった時間が長時間に及ぶことは、良いことではありません。

映像にせよ何にせよ、子どもにとって経験が良いものとなるかどうかは、経験した後の余韻ともいうべき時間を持てるかどうかが鍵です。刺激から解放された「自由時間」が、与えられた刺激を価値あるものにするかどうかを決める大事な時間なのです。

自然番組のを視聴した後に、動物に興味をもって調べるかもしれません。親子で一緒に旅行番組を見て、旅先の国のことについて色々と聞きたがるかもしれません。映像を見て、自分の体験と結び付けて話を膨らませてお話を作るかもしれません。

テレビを視聴した後に、すぐに食事やお風呂などで、子どもの関心や活動の時間を待たずに、すぐに次のことに移ってしまうのは、もったいないかもしれません。

テレビ等については、日本小児科医会の提言を参考に、「テレビ等の映像を見る時間」と「余韻を楽しむ時間」をセットにして考えられると最も良いと思います。それが一日にいくつかあっても、それは構わないと考えています。

2020年09月11日