自分で決めさせる

子どもがなかなか片付けないので、思わず手を出して結局代わって片付けてしまう、という経験があるのではないでしょうか。そこで、手伝ってしまうから自分から片づけようとしないのではないかと考えて、手伝いを止めてみたということを試してみた方もあるのではないかと思います。他の人がやってくれないなら、嫌でも自分でやるようになるだろうと考えたのだろうと思います。私もそういった経験があります。

しかし、子どもの方は全く片付けるそぶりを見せず、散らかったままということになったのではないかと思います。これは片付けだけでなく、様々な場面でよくあることです。なぜそうなってしまうのでしょうか。

単純に言うと「やる気がない」からです。やる気を出すのに最も効果的なのは、「自分で決める」ということです。やる気は、自分で決めたことかどうかで大きく左右されるのです。

最初の例で言うと、子どもが「自分で片付けよう」と決めることと、「もう片づけを手伝わない」ということとの間に直接的な関係はありません。それで、「自分でやろう」というやる気が出ず、事態は全く変わらないのです。

まずは、いつものことですが、「片付けは面倒くさい」という子どもの気持ちを認めた上で、どうすれば片付けができるかを子どもに考えてもらうようにします。いきなり、全部を片付けさせようとしても難しいでしょう。少しずつ出来そうなことを提案して、子ども自身に、それを「やる」と決めさせてあげます。

人は、他人に何かを決められてしまうことを嫌います。自分のことを自分で決めたいという感覚があります。「自分で決めるんだよ」、「自分で決めていいんだよ」と支えてあげることで、子どもはやる気が出ます。そして、自分で決めたことを実行していくことを自律と言います。つまり、自分で「やってみる」と決めることから子どもの自律性が育っていきます。

子どものためを思ってやらせようとすることも、子ども自身にやる気が出てこなければ空回りです。「こうしなさい」とうるさく言われると、子どもは疎ましく思うのです。

こちらの方が、先に子どもをコントロールすることを止めてみることです。コントロールや制限がないと子どもは好き勝手するだけではないか、と思われるかもしれません。しかし、コントロールを止めてみるというのは、放任とは違います。何の制限もなく好きにさせることとは違います。やるべきことを責任として提示した上で、それを果たすための道筋を子どもに決めさせると言うことです。「やりたくない」という気持ちを共有し、その上で「やらなければならない」責任を持つ理由を説明します。

そして責任を果たすために「どうしたらいいのか」、「どこまでなら自分でできそうか」、「どこに手伝いが必要か」を子どもの決定を促します。子どもは自分で選び、自分で決めたことだから、「やる気」を得るのです。

2020年11月27日