クレーン現象

「クレーン現象」という言葉があるそうです。子どもが「お母さんがして~」「先生がして~」と、まるでクレーンの先で物を取るように、親や先生の手でしてもらおうとすることだそうです。

子どもは本来「自分でする」と言う気持ちが強いものです。そこで大人が手を出してやってしまうと不機嫌になり、泣き出したり、怒ったりします。そのような子どもたちがいつの間にか「やって~」「して~」と、人の手をあてにするクレーン現象にかかっているのです。

子育てにおいて大事なことはなにかと聞かれれば、「自立」と「自律」と応えます。「自分の手を使い、自分の頭を使い、自分のやりたいように進める」という活動を繰り返してきた子どもは、「自分でする」というあの強い気持ちを持ち続けます。それは「自律」を身に着け、「自立」を目指して一歩一歩進んでいる姿です。「お母さんがして~」「先生がやって~」という子どもと比較すると、「自分を使い、自分でやりたいようにする」子どもの方が強い生命力を感じます。

一頃、ビジネス書で「タイムマネジメント」ということが流行りました。正直言って、最近のビジネスマンはこの程度の見通しも計画も立てられないのかと驚いたものです。幼児期以来の日常の積み重ねが大人になって影響しているのではないか、と考えてしまいます。

幼児期に「遊び」という環境の中で、自分で考えて遊び、実行し、考えて工夫する、という一連の活動を自分のやりたいようにやってきた子は、自分の生活、つまり限られた「時間」を管理する「自律」を身に着けていきます。優先順位をつけ、出来るものから片づけて、必要性を自分で判断してやり通すという「人間力」を発揮できると信じています。

そのために、子どもの「自分でする」という生命の要求に応える大人の工夫と努力は大事なのです。

 

2018年11月08日