自信を奪わない

幼稚園の先生が子どもに接するときに配慮するのは「自信を奪わない」ということです。

子どもにとって、毎日毎時が学びの時であり、発達の場面です。その時にもっとも子どもを伸ばすのは、子ども自身の「やってみたい」、「できるようになりたい」という成長欲求に即したときです。この成長欲求に強く応え、子どもに行動を促す力になり、失敗してもへこたれない心をもたらすのが「自信」です。「自分はできる」と自信を抱く子は、様々な行動に積極的です。新しい環境で挑戦を恐れません。

この「自信」の源泉は、「自分でできた」という成功体験が何といっても大きいです。しかし「他人に迷惑をかけないこと」「集団のルールを守ること」を重んじる日本の子育てでは「自信」が育ちにくいと言われます。

それは、多くの場合子どもの行動をコントロールすることに注力してしまうからでしょう。子どもの行動をコントロールできる親が「良い親」である、集団のルールを守る子が「良い子」であると考えるとき、教育やしつけは「ダメ!」に偏ることが多いからでしょう。つまり、子どもを育てる中で、子どもの行動や発想を制限することが多くの割合を占めるのです。

「ダメ!」の他にも、「過干渉」ということがあります。子どもが一生懸命にやっていることに、親が手を出してさっさと片づけてしまう、ということです。子どもが自分の意思でやろうとしたことを親が先取りしてしまうことが「過干渉」です。過干渉は子どもからやる気を奪います。そして「自信」を失っていきます。「危ないから」、「時間がかかるから」、「汚すから」という大人の都合が子どもの行動を制限します。これは子どもが何歳であっても同じです。子どもが育つためには必ず干渉を受けざるを得ません。だからこそ、自信を奪わないことを念頭にして、どこまでが必要な干渉で、どこから過干渉になるかを見分ける配慮を失わないことが大事になります。

もう一つ加えると、「放任」も子どもの自信を損ないます。それは子どもを「一人の人間」として扱っていないということです。一人の人間として果たすべき責任は子どもにもあります。マナーやエチケットは特に、毅然とした態度で伝えることが大事です。ただし、その時は子どもを人目から離して、人前で叱らないように配慮できることが望ましいです。子どもは概してプライドが極めて高い存在です。子どものプライドを傷つけない配慮を心がけるべきです。

2018年11月29日