父親の出番

乳幼児期の子どもが第一に求めるのは殆どの場合母親(厳密には母性ですがここでは母親とします)です。これは仕方ありません。しかし、乳幼児期後半から父親(厳密には父性ですがここでは父親とします)の役割が増えていきます。

「父親は外で働き、母親が子育てをする」という状況は、サラリーマンという働き方が定着してからです。つまりそんなに古くからあった考え方ではありません。江戸時代には、子どもの教育は父親の役目であることが殆どでした。学問や礼儀作法、人づきあい、商売や職人としての技術、遊び方までを父親が教えていたのです。それでは現代ではどうでしょうか。

まず、子どもが生きる力の土台というべきものを形成する乳幼児期(およそ6歳まで)は、子育ての主役は母親です。この時期の子どもは「根拠のない自信」を持つことが大切です。この自信をつくるのは「愛されている」という実感です。それには母親によるスキンシップが最も効果的です。この時期の父親は母親のサポート役です。母親の味方でいることが大事です。

一方、子どもが大きくなるにつれて、徐々に父親の役割が増えていきます。子どもを普段とは違う外へ連れ出し、一緒に体を動かしたり、自然に触れたり、普段出会うことのない人と関わる機会を作るといったことに、父親は適任者です。

それらを通して、社会のルール、仕事の大切さ、人付き合いの方法など子どもが成長していくときに要求される生きるための知恵や技術、能力を見せるのは父親の方が向いています。出展が不明なので申し訳ありませんが、以前成長期に父親と過ごした時間が多い子は社交性が良く、結果としてより高いキャリアを得る、自分の仕事への満足度が高いという調査結果を見たことがあります。

子育ては永遠に続くものではありません。父親、母親が自分の役割を大切にし、お互いを尊重して、協力できることが子どもにとって最善の育ちの環境です。

2018年12月12日