兄弟姉妹は平等にすべきか

二人目以降のお子さんがおられると、「兄弟姉妹を平等に」と思うことが殆どではないでしょうか。兄弟姉妹に限らないのですが、愛着を求め、自信と自尊心を育てるべき年齢の子どもにとって「平等」に扱われることは、不当に扱われているのと変わりません。

その意味で、兄弟姉妹を平等に育てることにこだわることはむしろ上の年齢のお子さんにとって悪影響があります。無理に平等に育てる必要はないのです。上の子を中心に育てるくらいでバランスがいいのです。

特に「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから~」という言い方は避けた方が良いでしょう。ほとんどの場合、この言葉の後には「がまんしなさい」とか「ダメ」というニュアンスが続きます。上のお子さんは生まれたときから親の愛情を「全部」独り占めしてきたのです。つまりもともと「一人っ子」だったのです。ところが弟、妹ができたとたんに「あなたへの愛は弟(妹)と平等にするために、半分に減らします」という態度をとられて納得できるはずがありません。もちろん親はそんなつもりは全くないでしょう。そんな言い方もしないでしょう。しかし、それまで愛を独占していた上のお子さんがどれだけ不安を感じるかを知ってあげてください。

失われた愛を取り戻すために、自分へ親の関心を引き付ける必要があります。そこで、駄々をこねたりお漏らしをしたりといった、いわゆる「赤ちゃん返り」と言われる状態になります。すべては母の愛を取り戻すためです。子どもが愛を得るために良いことをしてくれるとありがたいのでしょうが、たいていは悪いことをします。聖書に「愛は忍耐強い。…すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える」という一節があります。まさしくこのような愛が試されるのです。

その時に、「がまんしなさい」、「めんどうかけないで」と突き放されると子どもは何を感じるでしょうか。子どもの親に対する愛の期待は冷え切っていきます。安心できる愛着の基地を失って、行き場がなくなります。そうなって良いことはまずありません。

おかしな行動が見えてきたら、名前を呼んで「寂しかったのね。ごめんなさい」と伝えてあげることも大切です。これまで以上に手をつなぎ、抱きしめたり、膝の上にのせたり、おんぶしたりして、体温を感じる触れ合いを体験させてください。

このように書きてくると、「それでは下の子は、寂しくならないか」と思われるでしょう。上の子が「一人っ子」であったのと違い、下の子は生まれたときから親の愛を100%独占できないことが「当たり前」の環境にいます。親の愛は兄弟姉妹で分け合われるもの、という前提が生まれたときからあります。そのため、少々親の目が上の子に多めに向いても大丈夫なのです。兄弟姉妹に関しては上の子の方を中心に、というぐらいでむしろ「平等」が実現するのです。

2018年12月13日