家庭でルールを考えてみましょう⑥

子どもは遊びに夢中になったり、他のことに興味をもって集中するとルールを忘れてしまうことがあります。

そのようなときルールを思い起こさせようとしますが、それと共に大切なことは、子どもが忘れてしまったことを正直に話せる環境を普段から作ることです。

過ちを正直に話すことができないと、子どもは嘘をつくしかありません。しかし、子どもが嘘をつくようになると大人は子どものことが理解できなってしまいます。子どもの嘘というのは大人にはすぐ見抜くことができる場合が多いです。当然、嘘をついたことを叱ります。そうすると子どもは嘘をつかなくなるでしょうか。逆です。もっと上手に嘘をつくようになります。これではお互いが理解できなくなります。そこで何より、過ちを正直に話せる環境を普段から作ることが大切なのです。

正直に話せる環境は、第一に黙って聞いてくれる環境です。途中で怒ったり、非難したり、批評したりせずに聞いてくれる環境です。正直に話せるならば、過ちを犯したのは自分自身であり、それがいけないことは幼児でも十分に理解することができます。その上で、どうすればいいかを一緒に考えてみてください。

聖書にイエス・キリストとして大切な言葉があります。「疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。わたしは柔和で謙遜な者だから、わたしの軛(くびき)を負い、わたしに学びなさい。そうすれば、あなたがたは安らぎを得られる」(聖書 マタイによる福音書11章28~29節 新共同訳)。

この聖書の言葉の「疲れた者、重荷を負う者」というのが、ルールを忘れて罪悪感を抱いている子どもと思ってください。心が重くなっている子どもを、「わたし」が迎えます。「わたし」にご自身の名前を入れてください。まず、休ませてあげることです。柔和で謙遜であることを心がけて話を聞きましょう。それが正直に話せる環境を作るということです。

そして「軛(くびき)」を一緒に負います。軛(くびき)というのは、2頭以上の家畜をつないで一緒に作業をさせるときに使われる首にかける道具です。進む方向がバラバラにならないように、軛(くびき)の重さを一緒に背負って、同じ方向を向いて前進します。正直に話をした子どもと、方向を目指し、改めて一緒にルールを負って出発するのです。

こうしたことを繰り返す中で、たとえ問題が起こっても家族のルールに立ち戻って穏やかに話し合う環境が作られていきます。家族が問題解決に向けて心を合わせやすくなります。このような環境を目指していくことは、幼児期だけでなく、年齢が上がり毎に活動や交友を広げていく子どもにとって、特に大事なこととなるはずです。

2019年01月31日