今の気持ちはどんな感じ?

子どもは感情の起伏が激しいものです。頻繁に機嫌が変わるので、「落ち着きがない」「癇癪もち」「お友達と上手に付き合えない」「切り替えが苦手」など、様々に評価されます。ほとんどの場合感情の起伏は年齢とともに穏やかになっていきます。

子どもがなかなか自分の感情をコントロールできないのは、成長の過程として受け入れざるを得ないことですが、あまり激しい感情の起伏は子どもにとっても負担となることがあります。感情は自分でコントロールする他ありません。余程重篤な病症でない限り、薬物で抑えるわけにはいきません。そこで、少しずつ子ども自身が感情をコントロールするために、子ども自身に感じている感情を言葉(絵図)で表現させるという方法があります。

3歳頃であれば、「幸せ(嬉しい)、悲しい、怒り」といった三つの文字や絵を使って、「今の気持ちはどんな感じ?」と尋ねて、自分の感情へと意識を向けさせるのです。子どもの語彙が増えてきたら「ワクワクしてる、イライラしてる、怒っている、落ち着いている、嬉しい、楽しい、悲しい、寂しい」というふうに微妙な感情の表現を増やしてみるといいでしょう。それらを言ったり、書いたり、絵をボードに掲示して子どもが客観視できるようにします。

自分の感情に自分で思いを向けることは大事な成長です。これは自分を自分で観察し分析するということです。これが自制心を育むときに大切な訓練になります。自分自身の感情を捉えることができないと自制しようがありません。やがて「何に怒っているのか」「どうして悲しくなったのか」といった分析に進んでいきます。そのうちに感情に任せるままでは解決しなかったものに対処法を見つけていきます。

親は子どもの感情を誰よりも汲み取ることができるでしょう。幼い時は、そうやって感情を汲み取り、その原因に親が対処する必要があります。その時に第一に大切なのは、感情を受け止めることです。「いい」とか「悪い」という判断はせずに受け入れるということです。怒りは「悪」ではありません。悲しむことの重要な感情の経験です。感情はどんなものでも必要なものです。大切な自分の一部です。しかし、自制心がなければ他人だけでなく、自分自身も苦しめることがあります。

自分自身の感情を心から外に出して客観視することを繰り返すうちに、感情に振り回されないように自制心を育て、落ち着いて様々な課題に対処できるようになるのです。

2019年02月08日