西荻学園幼稚園

お問い合わせ
キービジュアル

西荻学園幼稚園 保育の考え方

西荻学園幼稚園 保育の考え方

── のびのびと、深く ──

西荻学園幼稚園は、「のんびりした園」という評価をもらっています。
それは、子どもがその子らしくいられる「のびのびとした園」でありたいという幼稚園の
願いを、そのように受け止められたのでしょう。
西荻学園幼稚園は、その「のびのび」の中で、子ども一人ひとりの育ちが深まっていくよう、
保育の一つひとつに意図と根拠を持って取り組んでいます。
ここでは、本園が日々の保育で大切にしている考え方をお伝えします。

こどもとおとなの安心基地の画像1
こどもとおとなの安心基地の画像2
1. のびのびと、深く

「のびのびとした幼稚園」と聞いて、子どもをただ自由に遊ばせている園、と受け取られることがあります。本園が目指しているのは、それとは少し違います。
子どもが安心して自分を出せること⸺それが「のびのび」の前提です。そのうえで、教師は一人ひとりの興味の芽を見つけ、遊びがより豊かになるように環境を整えます。子どもが夢中になっている姿の背後には、教師の細やかな観察と意図的な関わりがあります。
私たちは、こうした保育の質を、自分たちの感覚だけでなく、国際的に用いられている保育評価の枠組み (ECERS-3 や SSTEW、CLASS など ) や、文部科学省「幼稚園教育要領」が示す「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 (10 の姿 )」を参照しながら、継続的に見直しています。
「のびのび」と「教育的であること」は、対立するものではありません。深い遊びの中にこそ、幼児期にふさわしい学びがあります。

2. 本物との出会いを、
保育の中心に

幼稚園教育要領は、幼児期の教育の根幹に「環境を通した教育」を据えています。子どもは、質感のあるもの、においのあるもの、重さや手触りのあるものに、体ごと関わることで学びます。
画面の中の映像がいくら鮮明であっても、ダンゴムシを手のひらに乗せたときのくすぐったさ、雨上がりの土のにおい、本物の葉のざらざらした感触を、代わりに伝えることはできません。
本園は東京の都市部に立地しています。広大な自然に囲まれているわけではありません。だからこそ、園庭の小さな草花、季節の風、小さな虫たち⸺ささやかでも「本物」である環境を、保育の中心に意図的に据えています。
園外保育や遠足、季節の行事、砂や土や水や石に直接触れる遊びも、すべてこの考え方の延長にあります。

3. 答えへの旅の途中を、
大切にする

デジタル機器で調べると、知りたい答えがピンポイントで瞬時に手に入ります。それは大人にとっては便利です。しかし幼児期の学びにとって、本当にそれでよいのか⸺本園は立ち止まって考えています。
図鑑を一緒にめくっていると、こういうことが起きます。「この虫なんだろう」と探しているうちに、目的のページにたどり着く前に、まったく別の生き物に目を輝かせる。答えにたどり着く前に、すでに別の世界へ旅に出ている⸺これこそが、幼児期の学びの姿だと、私たちは考えています。
答えを効率よく手に入れることよりも、図鑑、本、植物、虫との丁寧な出会いを通じて、「もっと知りたい」という内発的な探究心を育てたい。それが本園の選択です。

4. デジタル機器との
向き合い方

近年、幼児教育の現場にも、電子黒板やタブレット端末などのICT機器を導入する動きが広がっています。本園では、こうした流れに対して立ち止まって考え、子どもたちが日常的に過ごす保育の場への電子機器の導入を、現時点では行わない方針をとっています。

スクリーンタイムへの懸念

世界保健機関 (WHO) や日本小児科学会は、幼児のスクリーンタイムを1日1時間以内にとどめることを推奨しています。視力への影響だけでなく、言語発達、注意・集中力、睡眠の質、身体活動量との関係を示す研究が積み重なってきたためです。
現代の子どもたちは、家庭においてすでに相当量のスクリーンタイムにさらされています。園でさらに画面の前に座る時間が加わることで、推奨時間を大きく超えてしまうことを、本園は懸念しています。

「使わない」ではなく「子どもには本物を」

誤解のないようにお伝えします。本園でも、職員研修、保護者の皆様へのご説明、行事の映像の共有などには、デジタルツールを積極的に活用しています。IT機器そのものを否定しているのではありません。
子どもたちが日常的に生活し、遊び、学ぶ「保育の場」に画面を持ち込まない⸺これが本園の判断です。
国や自治体からのICT化推進の働きかけは、今後も様々な形で続くと思われます。そのたびに私たちは「これは本当に子どもの育ちのためになるのか」を問い直し、皆様に説明できる言葉で判断していきます。

5. 英語と体操
⸺ことばと体を楽しむ

本園では、毎週、英語 (ネイティブ講師) と体操 (専門講師) の時間を、通常の保育の中に組み込んでいます。
これらの活動は、特別な「お勉強の時間」ではありません。子どもたちが普段の遊びや友だちとの関わりの中で、ことばを楽しんだり、体を動かす喜びを感じたりする⸺その延長線上に位置づけています。
英語の時間は、歌や遊びを通じて「ことばって楽しい」という感覚を育てる時間です。文字を書く・単語を覚えるといった就学準備としてではなく、世界には自分とは違う言葉や文化があるということを、楽しみながら知る入口として大切にしています。
体操の時間も同様です。技術指導以上に、自分の体を信頼すること、友だちと一緒に動く喜びを大切にしています。

6. 年長児の「科学」と「造形」
⸺探究の入口に立つ

年長児クラスでは、英語と体操に加えて、外部講師による「科学」と「造形」の時間を設けています。これは、卒園後の探究学習、そして生涯にわたる学びの土台となる経験を意図的に組み込んでいるものです。

「科学」⸺考えて、試して、伝え合う

「科学」は、実験を行う時間です。様々な不思議を体験します。
その始まりは、講師の「どうなると思う?」「どうしたらいいかな?」という問いかけです。「まずやってみよう」ではなく、考えて、見通しをもって取り組むことを大切にしています。
そして、うまくいかなかったときに、どうやって次の一手を考えるか⸺これを大事な経験としています。自分一人でじっくり考える子、グループで相談する子。そして大切なのは、答えを見つけた子のところへ「教わりに行く」こと。聞かれた子は「伝わるように教える」経験をすること。
正解にたどり着くこと自体が目的ではなく、正解へ近づいていく過程と、その中で生まれる子ども同士の関わりを大切にしています。

「造形」⸺「正解」を、自分で決める

「造形」では、様々なテーマのもとで、普段の活動よりも、大きく、まったく自由に創作をします。
そこには、あらかじめ用意された正解がありません。自分が「これで完成」と決めたことが「正解」です。
中にはすぐに「完成」にしてしまう子もいます。しかし、周りの子たちの創作から次々と刺激を受けて、まねをしたり、まねをされたりしながら、自分とは違う発想、考え方、やり方を取り入れることで、自分の作品をどんどん深め、高めていきます。
自分とは違う個性と出会うことで、新しい発想を得ていく経験を大事にしています。そこには、「間違い」はありません。自分とは違うことに、価値を見出していきます。

生涯にわたる学びの土台として

「科学」も「造形」も、ねらいは目に見える成果や正解ではありません。考えを巡らせること、試すこと、自分とは違うものに出会って自分を更新していくこと⸺これらの経験そのものが、卒園後の小学校での探究的な学び、そして生涯にわたる学びの土台になると、私たちは考えています。

7. 「幼児期の終わりまでに
育ってほしい姿」を意識して

文部科学省「幼稚園教育要領」(2018年改訂) は、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿を示しています。健康な心と体、自立心、協同性、道徳性・規範意識の芽生え、社会生活との関わり、思考力の芽生え、自然との関わり・生命尊重、数量や図形・標識や文字などへの関心・感覚、言葉による伝え合い、豊かな感性と表現⸺です。
これらは「卒園までにできるようにさせる項目」ではなく、日々の遊びや生活の中で、自然に芽生え、育っていくものです。本園の教師は、この10の姿を心に置きながら、目の前の子どもの育ちを丁寧に見つめています。
教師の自己評価にも、この観点を取り入れています。私たち自身が学び続け、保育の質を高めていくこと⸺それが、子どもの「のびのびと、深く」を支える土台だと考えています。

8. ご家庭との対話を大切に

ここに記したことは、本園の保育観の核となる部分です。一方で、子育ては一人ひとり異なるものであり、本園の考え方が、すべてのご家庭にぴったり合うとは限りません。
入園をご検討の保護者の皆様には、ぜひ説明会や園庭開放、見学にお越しいただき、実際の子どもたちの姿、教師の関わり方をご覧ください。本園の保育が、お子様とご家庭に合うかどうかを、一緒に考えさせていただければと願っています。
また、在園のご家庭との対話も、本園が大切にしていることのひとつです。月に一度の父母会、日々の送り迎えでのやりとり、面談や個別のご相談⸺あらゆる機会を通じて、保護者の皆様と「子どもの育ち」について語り合える園でありたいと思っています。