子どもの感情が爆発するとき

 嫌なことが続くと感情を爆発させてしまうことは、大人にもあります。まして、感情のコントロールが未熟な子どもが感情を抑えられずに爆発してしまうのは、当然の出来事です。
 大人でしたら、自分の感情が「怒り」なのか、「悲しみ」なのか、「失望」なのか、判断もできるでしょう。感情に「言葉」を与えることは、感情を制御する第一歩です。しかし幼児は自分の感情を的確に言葉で表現することができません。理解できていない不快感が心を乱すのですから、それはどれほど不愉快なことでしょう。ですから、幼い子はたびたび「癇癪」を起こします。
 大人は、感情を爆発させてしまうと大抵後悔します。実は子どもも同じです。「自分はダメな子だ」と思ってしまうのです。そんな中で感情を爆発させた子どもを叱るのは、逆効果です。まずは子どもに「あなたはダメな子じゃない」と伝えるために、落ち着かせることが肝要です。最も効果的なのは抱きしめることです。そうして子どもが落ち着いてから、どうして感情が爆発したのかを聞いていきます。それは「怒り」に分類できるかもしれませんし、「焦り」に該当するかもしれません。しかし、爆発するということは、いろいろ複雑な感情が混ざり合っているからです。
 少しずつ、感情と言葉を結び付けていけるとよいでしょう。感情をカードにして、イラストで表情を分かりやすくしてあげたりして、この気持ちは「怒ってる」、この気持ちは「悲しい」、この気持ちは「イライラ」といった風に、まずは単純に結びつけるといった工夫もよいでしょう。そういったものを準備するときには、「嬉しい」や「楽しい」、「ワクワク」といった感情も一緒に準備します。「イライラ」して感情が爆発したけど、今は「楽しい」に変わったといった、感情の変化を確認できるとより感情の言語化にプラスに働きます。そこから、「この次、また『イライラ』が来たら、今日みたいに大きな声を出さないで、どうしたらいいかな?」と対策を一緒に考えてみます。
 これを繰り返すうちに、子どもは自分の感情に「言葉」を与え、自分の感情を把握します。そうして自分をありのままに受け止め、コントロールすることができるように育っていきます。
 感情のコントロールでも、大事なのは自分で対処法を学ぶことです。自分への信頼と自信を高めることで、自制心が育ちます。
 子どもが感情を爆発させることは、一概に悪いこととは言えません。このこともまた子どもが自分自身を育てる大事な機会になっているのです。

2019年04月18日