言葉以外のコミュニケーション

子どもと接するときに、言葉によって伝達することは大切です。「どうせ分からない」と思わずに、丁寧に言葉をかけることで子どもの語彙も広がっていきます。そして同時に、言葉以外の伝達手段も用いることも重要なことだと思います。
幼稚園に入園してくる子は学齢3歳の子たちです。3月に3歳になったばかりの子もいて、言葉の発達の様子はみんな違います。なかなか言葉が出なくて心配されている保護者の方もおられます。そんな時に、コミュニケーションは言葉だけではないことを知っておくと、ぐっと気持ちが楽になります。
言葉を促すと言っても、言葉をかけることだけが手段ではありません。「何を話そうか?」と困ってしまうかもしれません。そんな時に、前後関係も複雑な意味もなく、ただ「コミュニケーションをとる」ことだけを目的として、子どもを誘うのに手指コミュニケーションは赤ちゃんの頃から使われます。子どもに向かって手や指を使ったコミュニケーションや手遊びを歌ったり、話しかけたりしながら併用することで、子どもに伝わる情報の幅は大きく広がります。一緒に手遊びをすれば脳も刺激を受けます。
コミュニケーションは、「話す」、「書く」だけでなく、「表情」、「歌う」、「描く」、「演じる」、「動く」など表現手段は様々です。そういう手段が沢山ある方が、子どもの捉える「意味」の世界に多層的な経験が加わると思います。語彙力や感受性が育っていきます。言葉は充当ですが、伝達手段のひとつに過ぎません。
これは逆に、子どもから大人へ自分の思いを伝えるときに言葉だけではない手段を与えることになります。語彙力の乏しい年齢の子も、精一杯話しかけているのに分かってもらえないとイライラするでしょうし、悲しいのは大人と一緒です。これからの時代、様々なツールの発展で世界中の人と出会う機会はますます増えるでしょう。そのような時代に生きていく子たちが様々な伝達手段を多層的に経験し、コミュニケーションの深みと幅を育てることは重要だと考えています。

2019年06月10日