言葉と心の違い

子どもは言葉で言っていることと思っていることが違うことが多いものです。
「幼稚園に行きたくない!」と言われたら、どうされるでしょうか。「行かないとダメ!」「何を言ってるの!」と咄嗟に言ってしまうかもしれません。
子どもが困ったことを言う時には、「助けてほしい」という気持ちがあります。それを上手にあらわしたり、説明できないので、「イヤ」という言葉になってあらわれるのです。
「幼稚園に行きたくない」という言葉の裏に、苦手な体操があるからかもしれません。お母さんと一緒にいたい、という気持ちがあるのかもしれません。それを「行かない!」という言葉でいっているかもしれないのです。
こういうときは、まず子どもの気持ちに共感することから始めてみてください。幼稚園に遅刻してしまうと焦られるかもしれませんし、子どもを送った後予定があって焦られるかもしれませんが、共感してあげることが最も時間的にも早く解決することが多いです。
「そう、行きたくないのね」と共感してあげてから、しばらく何も言わないで黙っていましょう。その際、正面に立つより、横に寄り添って同じ方を見て子どもが言葉を発するのを待ってみてください。
子どもは自分がやらなくてはならないことを十分に理解しています。しかし、それでもままならない気持ちに揺れています。だから、「どうして?」、「何で?」と問い詰めずに待ってみてください。少しずつ「イヤ」以外の言葉を話し始めます。
大事なのは、子ども自身が気持ちを外に出すことですから、慰めたりアドバイスをしたり、焦って「どうするの?」と選択を迫らないことが大事です。とにかく子どもに言葉を出させてください。そして、「そうなんだ」、「うん、わかるよ」と共感します。共感は同時に子どもを観察することです。本人が表せない不調があるかもしれません。
アドバイスや慰めというのは、実は事情を早く終わりにしたいと思っている側の逃げ道なのです。だからこのような時には、子どものためにはならない、と思ってください。子どもは自分でやるべきことへと踏み出す力があることを信じてみてください。そこで子どもの考える力が育っています。

2019年07月11日