声かけ無用

子どもが何かに集中していたら、声をかけるのは禁物です。
一生懸命に工作をしたり、絵を描いたり、逆上がりに挑戦していたら、声をかけてはいけません。「何をつくってるの?」とか「上手だよ」とか言いたくなりますがやめておきましょう。
大人でも仕事に集中している時に話しかけられたり、電話やLINEが入ったら集中が途切れて仕事が続かなくなることがあります。子どもにとってはそれ以上に困ってしまうのです。
子どもはごっこ遊びが好きです。そこでは、ただの木切れがケーキになったり、互いがヒーローになりきって遊びます。イメージが投影されるのです。独り言を呟きながら活動することも多くあります。集中しているからです。活動をするときにイメージがとても重要で、時には声に出すことでそれを補い、活動のストーリーを思考しているのです。
ところが、そのように集中し、夢中になって遊んでいる子どもに声をかけると、活動を中断させられます。そうすると、イメージがなくなってしまいます。「次はああして、こうして」と、先のことまで考えてフル回転していた思考が止まってしまいます。
子どもは好きなことを集中してやることで満足を得ます。この満足感で得られるものと、褒められることで得られるものは、かなり違うのです。子どもが求めてきたときに、求めてきたことだけに応える、という姿勢を基本にするといいと思います。
ですから、子どもが求めてきたら応えてあげます。集中して描いた絵を「見て!」と持ってきたら、その時に褒め、「何を描いたの?」と尋ねましょう。子どもがどんなイメージとストーリーの中で遊んでいたかを知ることができて、なかなか面白いです。スマホを見ながら「ああ、そう」と受け流すのはもったいないことです。

2019年07月12日