習い事・おけいこごと

保護者の方からお子さんの習い事について相談されることがあります。

最近のお子さんはピアノ、バレエ、ダンス、チアリーディング、英語、水泳、サッカー、空手、受験のための私塾など実に様々な習い事に通っていて、朝幼稚園に来ると「疲れたー」と言って先生に寄りかかって外遊びを嫌がるということも見られます。お子さんが習い事で疲れてしまうことは保護者の方も心配していて、どれを続けさせてどれをやめさせるかも悩みどころです。

私が習い事について考えたときに、大変参考にさせていただいた本を紹介します。杉山由美子氏の『お子様おけいこごと事情』(婦人生活社)という本です。この中で、最初は習い事をさせることに杉山さんは懐疑的でしたが、周りの子どもたちは皆習い事に通っていました。そこで、どんな習い事がいいのか様々な習い事や早期教育教室を取材してレポートしています。取材を続ける中で習い事に懐疑的だった杉山さんも、現代の子育てが習い事を必要としている背景が見えて、時代に逆らえないという思いを持たれます。「何のためにおけいこごとをさせるのか」「その子は将来良かったと思えるか」「おけいこごとを通してどんな大人になってほしいと自分は考えているのか」と杉山さんは自問します。そして、こう記しておられます。

「何のためにおけいこごとをさせるのかと言ったら、集中してひとつのことをする喜びを知るためである、と今は断言できる。その意味では何でもいいのだ。」

幼児期の子どもは、どんなことでもいいので夢中になって、没頭して取り組むことのできる体験こそが大切です。その意味では何の習い事を初めてもいいですし、始めたら続けなければならないということもありません。何かを夢中になって体験し、体験したことで成長を得ることが自信を育てます。習い事を専門的に極めるのは、成長の順序から言ってももっと先のことです。出来れば、初めて楽しさを知って、いったんやめてしまっても、またやりたくなって再開するというくらいの余裕があるといいのです。幼児期の体験は「浅く、広く」と考える方が良いのです。多種、多彩な経験こそ幼児期の最重要な経験です。習い事は親も子も縛るように感じたらやめてしまうくらいのつもりの方が良いと思います。また、一度の体験では興味を抱かなったことに、ある日突然取り組むようになるのが子どもたちです。

習い事は、親も子も縛られない程度に楽しんでください、というのが私の意見です。

2018年09月25日