手足の感覚から養われるもの

木製の大型積み木が痛んで使えなくなっていたので、今年度、高反発素材のより安全な大型積み木を購入しました。カラフルな大型積み木です。
大型積み木を使って自分より大きな立体物をつくるのも、かなり思考力を養います。自分より背丈が高いものを積むというのは、大人でも苦手な方がおられるほど難しい作業です。足元を確かなものとして積み上げ、常に崩れないように全体のバランスを取らなければなりません。また、そのためには、積み上げるための道理(ルール)を獲得しなければなりません。小さなものの上に大きなものを積み上げれば容易に崩れます。大きくて安定した形のものを下に置き、安定している形から順に積み上げなければなりません。大型積み荷を抱えて、手先だけでなく腕と足も動かすことは感覚を養うと共に心の安定にも良いことです。理想としては、大型積み木をさらに増やして、普段から大型積み木のできる部屋を用意して自由に遊べるような環境を整えたいと思っています。
大型積み木は高価ですが、段ボール積み木を作るというのもいいでしょう。宅配などできた段ボールを潰さずに、空のまま箱にします。登って遊ぶことはできませんが、形は様々で、軽いので安定性が悪いからこそより計画性と見通しの力を使います。バランス感覚も必要になります。段ボールですから、積み上げてから怪獣になって壊すという遊びもできます。大きな段ボールならば、子ども自身が箱の中に入って遊ぶこともできるでしょう。
一方で、手先を使う動きは、指先の繊細な感覚を通して集中力を養い、思考の忍耐力を育てます。幼稚園では画用紙を細く切ったものをたくさん用意しています。折ったり、組み合わせたり、目的をもって工作をしたりといったことが美しく仕上げたり、「半分に折る」、「編む」といったことから、身体感覚として図形や数学の感覚につながっていきます。
遊びの後には、片づけがあります。種類に分けて分類し、元の場所に収めたり、重ねたり、収納したりといったことは、秩序感覚を養い、見通しを養います。それらはやがて秩序を表す数式のような記号に出会う時に真価を発揮します。
子どもの動きに注目すると、生活も遊びも子どもの思考力を養う試行の機会がたくさんあります。だからこそ、子どもたちが自発的に試行できる環境と十分な時間が用意することが大事なことになります。大人が意識的にこれらの感覚の育ちのために環境を整えることで、子どもは試行からこれらの感覚を育てていけます。

2020年01月09日