真似と笑顔

「真似」が、神様からいただいている人間の素晴らしい能力であるとすれば、「真似することは心地よい」ということを経験することが一層この能力を発展させ、幸せを招くことになるでしょう。
その時に大事なことは、「笑顔」です。私たちの真似の力の原点は、笑顔を真似することだそうです。言い換えると、赤ちゃんの時から笑顔は真似を呼び起こす特別な「何か」であるということでしょう。
幼稚園の先生の資質は様々あげられるでしょうが、笑顔が魅力的であることはとても大事だと思っています。裏表のない笑顔は、子どもの心を信頼で満たします。優しい笑顔が、子どもを慰めてくれます。朗らかな笑顔が、幸せを伝えてくれます。そういった笑顔が子どもの力をサポートしています。
真似そのものは、あらかじめ人間に与えられている力ですが、この力を十分に使えるかどうかは子どもたち自身の意欲に関わっています。「真似をするのはいいこと」、「真似をすると喜んでもらえる」、逆に「真似しないことは正しい」ということを、真似をした子どもの周囲が笑顔で受け入れることが大切なのです。子どもは笑顔に受け入れられて、真似する手本へのアンテナを敏感にして、ますます「真似してみよう」と意欲を持てるでしょう。子どもと過ごす時に、子どもは「真似する」ということをしっかり覚えておきたいと思います。
手本になるのが上手い子は、真似をするのもスムーズな子です。
また、そうした子は目に見えないものを多彩に真似しています。それは感情です。相手の心の真似をすることができるのです。これを共感と呼びます。聖書に、「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい」(聖書 ローマの信徒への手紙12章15節)という言葉があります。悲しい物語を聞いて悲しい気持ちになるのは心の真似である共感が発揮されるからです。うれしい、たのしい、かなしい等、心は目に見えません。手で触れません。しかし、私たちはそれらを知り、同じように理解します。やがて、子どもたちは最も深い心である「愛」を知るようになります。「幸せ」を感じるようになります。子どもたちの真似が、次の時代へと愛を育てているのです。そのために、ぜひ笑顔を向けてあげてください。幸せな大人を真似させてあげてください。

2020年01月20日