叱る=メッセージを伝える

「叱る」というのは、何かのメッセージを伝えることです。伝えるという点を見失ったり、そこで感情のタガが外れると「怒る」に変わってしまいます。叱る時に、伝える側は第一に伝えたいメッセージを意識することが大切です。まずここが明確でないと、子どもには伝わりません。
例えば、子どものやめてほしい行動があった時には、「その行動をやめてほしい」が伝えたいメッセージになります。しかし分析すると大人の言葉は余計なメッセージ満たされています。
「やめなさい!何してるの!ちゃんとしなさい!ああもう、服も汚して!ちゃんと謝ったの?手を洗いなさい!ほら、早く。もう帰るわよ!いい加減にして!」
結構こういう畳みかける言い方を叱り方をしますが、伝えたいメッセージは最初の「やめなさい!」です。続く、「何してるの!」以降は、メッセージに「やめなさい」と「やりなさい」が出てきて、更に「考えろ」と「行動しろ」がでてきます。さらに「いい加減にして!」と感情を向けられたら、もうごちゃごちゃになります。これらのメッセージを同時に受け止めろと職場の上司に要求されたら、部下はどう思うでしょう。恐らく思考停止します。実際、子どもの思考は停止します。メッセージを受け入れるのは無理です。
こういった言い方を利用する世間の代表者は政治家や役所の広報担当者です。あれは意識していくつもの情報をいっぺんに組み合わせています。質問が「Aなのか、Bなのか」と2択を迫る時にわざとAもBも言って、更にC、D、E、Fと周辺情報を同時に出し、結果としてAもBも答えない、という手法です。聞く方はその場での分析に手間取り、さらに小出しにされたC、D、E、Fに気持ちが向いてしまって、本来求めるべき情報への思考が滞ってしまいます。一方で話した方は、義務は果たした、となります。情報量が多いということは、殆どの場合情報の価値を低めてしまいます。
いっぺんにあれこれと言いたくなる気持ちは分かります。しかし伝えられるメッセージはひとつだけ、と思ってシンプルにした方が効果的です。
「やめなさい。………ちゃんとやめれたね」で、叱った目的は達せられているのです。

2020年02月03日