叱ることの限界

子どもを叱ることには即効性が見られます。子どもは叱られるとすぐに行動を止めます。
叱る側の目的は、問題であった行動を止め、改めてもらうことです。一方、叱られる側の目的は、叱られている時間と場所から一刻も早く逃げることです。そこで叱られると、何が問題であったのかを理解することなく行動を止めて、「叱られた風」を見せるということを身に着けていきます。
一見すると、分かってくれたように見えます。しかし、改めることができないのですから、同じことが繰り返されます。また、叱ります。叱るという行動は、回数を重ねるごとにだんだんと効かなくなるのは、子どもが、叱られることに慣れてしまい、その回避方法を身に着けてしまうからです。そうすると、今度は叱る方もより強く叱らなければならなくなります。そして、あるところで怒りを覚えて、超えてはならない限界を超えてしまう恐れがあります。
そこで、叱る時には強く「自分は、今、叱っている」という自覚を持つことと、感情に任せずに「叱ることをいつでも止められる」という叱る側の自省と制約が必要になります。
子どもにとって、叱られることはエマジェンシーに過ぎません。本当に理解してもらいたいことを伝えるには、一回では足りません。何回も繰り返さないといけません。そしてやがて効果はなくなります。子どもに無視されるようになります。叱る側は怒りに囚われ、叱られる側は無視を覚える。ここに叱るという行動の限界があります。
問題となる行動を改めることが目的です。そのためには、「叱る」ことが唯一の手段ではありません。別の方法でも問題行動を改めるための関りはできるという視野を持つことも必要です。

2020年02月06日