目標を持つ

一般的に4歳ぐらいから子どもは目標を持つことができるようなると言われています。「~をする」、「~をやれる」という言葉が出るのは、大人から見ると直近の未来であっても、先のことを予想して自分が何かをしている姿を想像できるようになってきたということです。そこから自分なりの目標を意識し、それに向けて挑戦するということが始まります。専門家はこういう力を「自己安定感」と呼びます。
「自己安定感」があるから、子どもは新しいスキルを得ていく道を選びます。例えば縄跳びや鉄棒に挑戦をします。ボールを投げたり蹴ったりキャッチしたりできるようになります。縄跳びも鉄棒もはじめはうまくいきません。転んだり、鉄棒から落っこちたり、痛い思いもします。しかしそれにひるまずに挑戦を繰り返し、やがて自分の目標を達成します。「自己安定感」は努力する力です。
目標を達成する過程を分析してみると、育ちの重要な要素が見えてきます。
①目標を発見する
②目標を定める
③やり方を計画する
④予測する
⑤実験する
⑥修正する
⑦目標を達成する
目標を達成するためには、目標としたいと思える興味を引く発見が必要です(環境)。発見した目標を自分の目標に定めて後、達成するためのやり方を考え、計画を立てる必要があります。自分で考えることが必要ですし、「自分だけでは難しい」と判断したときに相談することもあります(サポート)。こうして計画を立てることで目標を達成する力を蓄えていきます。
計画を実現するためには、集中力と持続力が必要です(環境)。実行しても失敗することがあるでしょう。もう一度前述の計画を立てるところに戻り、修正し、第2計画を立てて実験します。例えば縄跳びという運動は、できる者には何でもないのですが、初めて挑戦する子どもにとっては簡単ではありません。「できない」という実験結果に出会ったときに、そこであきらめない力、立ち直る力が必要です。そこで立ち止まっているようなら、少し手伝う必要があります(サポート)。「私はダメだ」と思い込ませないためです。
目標を達成することで、スキルはもちろんのこと、「自分はできる」という自己肯定と、次の目標達成のための方法を知ることができます。さらに、目標達成のプロセスは、「与えられた課題を達成する」力を同時に養います。それは言い換えるなら「約束を守る」力を養うのです。
幼稚園の先生は、上記の(環境)、(サポート)を適切に行うエキスパートであってほしいと思います。

2020年08月06日