”やってみよう”を育てる

本来、子どもは大人と違って、「やる前から諦める」ということはありません。ところが、何度も上手くいかない経験をしたり、周りの大人から「それはやめなさい」「こっちをやりなさい」と否定されると、やってみようとする気持ちが急速に無くなっていきます。大人の助言は、子どもの成長を妨げる「毒」にもなります。
子どもは好きなことに自由に取り組んでいると、どんどんそれが得意になっていきます。この「好き」と「得意」が育っている時が、子どもが神様からいただいている才能がぐんぐん育っている時です。
時間を忘れて、夢中になって取り組んでいる時が、子どもにとってのゴールデンタイムです。そこに子どもの本来の姿も現れてきます。ゴールデンタイムを豊かに持つためには、子どもの「やってみよう」という気持ちをどんどん増やしていくとよいのです。
「やってみよう」という気持ちの前には、「自分にもできそう」とか、「面白そう」という予感があるはずです。そこは大人も子どもも違いはないと思います。何かできそうなワクワクした気持ちがあるからこそ、やってみたくなります。「大変そうだ」とか「めんどくさそう」とか思ったら、できるだけ後回しにしたくなります。
「できそう」という予感を増やすには、何でもいいから新しいことに挑戦させるのではなく、日常的に子どもが「できる」とわかっていることから、ちょっとだけステップアップさせる方が効果的です。
そして結果にはこだわらないことが大事です。「ちゃんとやらないから、うまくいかないんだよ」という言葉は「できた」、「できない」で判断するので、結果として否定的な言葉になってしまいがちです。結果として、その時は、上手くいかなかったとしても、本人が頑張ったことや、本人なりの工夫をしたことなどを褒めてあげると、「もう一回やろう」という気持ちになりやすいのです。
大人から見ると「以前も出来たから、今回も出来て当たり前」のことでも、子どもが出来たことを無視せずに、褒めたり、ねぎらってあげると、子どもの挑戦はステップアップしていきやすくなります。
大人の世界は、「ダメ」の多い世界です。しかし、失敗したことを「ダメ」というのは、簡単なことです。しかし、「(結果的に失敗していても)ここは上手に出来てるね」と褒めて、「もう一度、やってごらん」と促してあげられるかどうかに、大人の「人間の器」が問われるように思います。

2020年09月02日