間違った褒め方

どんな当たり前のことでも褒めると、子どもは当たり前のことを「ちゃんと当たり前に出来る」子に育ちます。大人が「こんな程度のこと」と思えることでも、「いつも出来ていること」でも、どんどん褒めてあげて欲しいと思います。お手伝いをしてくれたら「ありがとう」を伝えます。小さなことを褒められることで、子どもは大きなことに挑戦する心が養われます。
このように、褒めることは子どもの育ちにとってとても大事な栄養ですが、何でもかんでも褒めればいいという訳ではありません。褒める時に気を付けたいポイントがあります。

1.他人と比較しない
「○○ちゃんより上手いね」とか、「クラスで一番だね」という褒めた方は、今すぐやめて、金輪際しないと心に決めて欲しいと思います。大人のこういった「比べる癖」が、他人と比較して褒める言葉から子どもへと伝わっていきます。
子どもは、大人の「褒めるポイント」に敏感です。他人と自分を比べる癖がつくと、周りの子の出来・不出来にばかり心を奪われるようになります。自分よりできない子を見下したり、自分が劣っていると思うことには挑戦できなくなります。

2.本人が喜んでいない時は慎重に
運動会のかけっこで1番を目指していたのに、2番になってしまった時など、子どもが心から悔しがっているのに、「頑張ったじゃない。すごかったよ」と褒めるのは、あまりお勧めしません。
褒められることが、なぜ子どもの成長の栄養になるのかと言うと、本人の感じた手ごたえを自信に変えることをサポートするからです。本人が手ごたえを感じていない、あるいは「ダメだった」と悔しがっている時には、かえって子どものプライドを傷つけるかもしれません。
子どもが頑張ったことを褒めてあげたいと思うのであれば、こういう言い方にしてみてはどうでしょう。「お父さんは、すごいと思った」、「お母さんは、頑張っていたあなたがかっこいいと思った」というように、「わたしは思った」という伝え方にしてみてください。
子どもは納得していなくても、「わたしはあなたの頑張りを誇らしく思う」という伝え方は、子どもの存在の肯定です。悔しさを次の挑戦に繋げるため、子どもを受け止めるのクッションのようなものです。

3.倫理やルールを逸脱したことは褒めない
子どもが他の子を叩いておもちゃを奪い取ったのを見て、「力が強いね、よくやった」と褒めることはないはずです。絶対に褒めないでください。
倫理や社会のルールを逸脱したときには、毅然とした態度を示さなければなりません。その時に気を付けるべきことは、子どもの存在そのものを否定はしないようにすることです。
ここでも、「わたしはとても悲しいと感じた」、「お母さんは、強い力でお母さんを手伝ってくれるあなたが大好き。お友だちをたたくのに力を使ってほしいと思わない」というように「わたしは~だと思う」という伝え方で子どもに言い聞かせて欲しいと思います。

4.アドバイスは子どもが聞きたいときに
褒めるだけでなく、次はもっと上手にできるようにアドバイスを伝えたいときもあります。そのような時は、子どもを褒めた後で、「もっとうまくいく方法を、聞きたい?」と尋ねて、子どもが乗ってきた時に伝えるようにしましょう。
子どもは、何度も同じ結果を楽しもうとすることがあります。子どもから「もう一回」と飽きずに何度もせがまれたことがあると思います。
そんな時のアドバイスは押し付けになってしまいます。アドバイスは、子どもが「聞きたい」と求めている時にすることが大事です。

2020年09月03日