注意を伝える

子どもの「聞く力」を育てるためには、話しかける大人の言葉も伝わる言葉であることが望ましいです。

例えば、無理に話を聞かせようとして「聞きなさい」と命令してしまうと、かえって子どもは心を閉ざしてしまいます。頑なに抵抗する子もいるでしょう。そうなっては、聴力は音として声をとらえても、意味のない雑音として無視されてしまいます。

そうすると、大人の方も気持ちがヒートアップして、本当に伝えたいメッセージを伝えられずに終わってしまうかもしれません。

そこで、伝えることをしっかりと伝えるための幾つかの心構えを持っておくと、知っておくと、大人も子どももお互いに話しやすく、聞きやすい関係を築けるだろうと思います。そういった関係は、ごく自然な尊敬し合う関係の構築にも繋がります。

①ありのままに伝える
子どもに注意をするときには、実際に起こっているありのままの出来事だけを伝えます。始めから「ダメ」とか「あなたが悪い」といった言い方をされると、子どもは反抗したくなります。「悪い」と指摘するよりも、ありのままに伝えて、子ども自身に何をすべきかを考えさせる方が効果があります。「悪い」という評価が無くても、子どもはありのままの状況を言葉にしてもらうことで、自分で問題を解決しやすくなります。

②未来を伝える
「AをするとBが起こる」というように、「どうなってしまうか」という情報を伝えます。「片づけないと、失くしてしまうよ」といったことや、「手伝ってくれたら、とってもうれしくなる」といったことです。この場合も、責めるような言葉や、「悪い」と決めつける言葉は使わないようにしましょう。

③注意は、短い言葉で
時に、伝わる言葉には優しさだけでなく、「権威」が必要です。特にルールを守らなかったことを指摘するときは、短いひとことで、伝える方が効果的です。その際、「○○ちゃん、AをBしなさい!」だと長いですし、命令になってしまいます。「聞く力」は「考える力」へと繋がっていくことが望ましいです。例えばボールを片付けないで部屋に戻ってきたら、「○○ちゃん、ボール!」と一言で決めるのです。

④感情を伝える
注意を伝えるときには、感情を伝えることも必要な時があります。感情を言葉にすることが、子どもたちは未熟です。また、感情というのは見たり、手に取って確認したりという具体的な感触がありません。ある感情の湧き上がる前の状況も合わせて、「Aという状況があると、Bという事が起こって、Cという感情が起こる」という状況と接続させた理解が必要になります。そこで、感情を教えていくために「お手伝いをお願いした(A)のに、誰もやってくれなかった(B)ので悲しかった(C)」というように、何に対してなぜそう感じるのかを具体的に伝えるようにします。もう一つは、子ども自身が自分の感情を表現できない時に、同じように「あのお人形を貸してと言った(A)のに、貸してもらえなかった(B)から、怒っている(C)のね」というように、言葉として状況と感情を具体化してあげると伝わります。

大人は子どもに大切なことをたくさん伝えなければなりません。その中には、子どもが「聞きたくない」と思う事柄もあります。そのような時に、伝える側も聞く側もストレスを少なくやり取りができれば、関係もより良くなっていきます。

2020年09月17日