長所を伝える

前回、子どもの競争について記しました。「根拠のある自信」を得るときに、健全な競争は重要な原動力となります。このような競争の過程では、子ども自身が自分の長所に気づくことができるようにサポートすることが不可欠です。幼児期後半から小学生の子どもが自分で自分の長所に気づくことは困難ですから、一番身近な存在である親がどんな小さなことでも長所を見つけて、はっきりと言葉で伝えてあげることが大事です。

ところで、長所は常に「良い面」でなければならないと考えてしまいますが、長所は短所と思われるところに隠れていることがしばしばあります。幼児期に「落ち着きがない」ということは「活発」、「活動的」という長所が育とうとしているのかもしれません。「集中力がない」ということは「観察力がある」、「様々なことに興味をもつ」、「探求心がある」ということでもあります。「けんかばかりする」という子は、実は「正義感が強い」、「弱いものを守ろうとする」、「優しい」子であるかもしれません。

子どもの長所が何なのか良く分からないという時には、子どもが周囲からどのように見られているかを思い出すとよいでしょう。祖父母や、お友だちのお母さんやお父さん、幼稚園の先生から、「誰からも好かれますね」、「笑顔がとても素敵ですね」、「いつも元気ですね」、「虫を見つける名人ですね」、「お話しが上手ね」、そのような子どもの様子を聞くことがあると思います。そこに子どもの長所を知る手掛かりがあります。

幼児期から小学生のころの子どもであれば、遊んでいる時の様子をじっくりと観察してみるのもよいでしょう。一人で遊んでいる様子から何に興味や関心を持っているかがわかります。お友だちと遊んでいる時の様子から、「負けず嫌い」、「リーダー気質」、「気遣いがある」、「教えるのが上手」、「動作が機敏」、「ジャンプ力がある」、「鉄棒が上手」、「思いやりがある」、「手先が器用」、「集中力がある」、「頑張って取り組める」、「勇気を出して挑戦する」、「失敗を怖がらない」、そういった人格や身体能力の長所が見えてきます。

こうした長所を親から認められると、子どもは張り切って長所を伸ばし、大切にします。実はあまり深く考えることはないのです。子どもを見ていてパッと頭に浮かんだ子どもの「あら、すごい」と思った姿をそのまま伝えてあげればよいのです。

2019年01月04日