選択の経験

子どもが何かを「選ぶ」という機会を大事にしてほしいと思います。それは「考える力」のきっかけとなります。

子ども自身に、「自分にとっていい選択は何か?」という問いを常に意識させるのです。大人の方が「この子にとっていい選択はこれだ」と過度に決めないということです。習慣的に「選択」をすることを許されてきた子どもは、周囲に流されそうになったり、不本意な選択をしそうなときに立ち止まって考える癖がつきます。

「ママが選んで」という子もいるかもしれません。その時も親に従うという「選択」をしたのは他でもなく自分自身だということを伝えることができると良いです。私たちの日々は、老若男女関係なく「選択」によって作られています。より良い選択をするために、幼い時から選択する姿勢を作ることが大事です。

多くの場合、幼い子に選択の機会は多く与えられません。食べ物も洋服も、靴も、カバンも親が選んで与えるのが一般的ではないかと思います。親としては、子どものためを思ってより良いものを選ぶのですが、それは子どもが選択する機会を奪うことと裏表の関係です。選択を大人が与えるべきか、子どもに選択させるべきかを考えなければなりません。そこに「親」の選択すべきところがあります。

西荻学園幼稚園では、制服も、カバンの指定もありません。上履きも基本的な機能を満たせばどんなものでもよいとしています。キャラクターものでも、どんな柄でも構いません。説明会では、「是非、お子さんに選ばせてください」とお話ししています。それだけではないでしょうが、子どもに様々なことを選ばせる保護者の方がとても多くおられます。西荻学園幼稚園の園生活は、入園前に自分で選んでみることから始まるといってもいいかもしれません。子どもは自分で選ぶことで好き嫌いを認識します。また、自分で選んだことでモノに対する責任や、選択する「重さ」を知ることができます。

「選択」の訓練は、同時に「自分と向き合う」という行為です。この訓練を幼い時から習慣づけることは、将来子ども自身が様々な悪意ある誘惑や危険から守る強力な心の盾になります。選択によって自分の意思や考えを表現することができるようになります。

ぜひ、選択の機会を子どもに豊富に与えてほしいと思います。

2019年01月17日