子どもと一緒に遊ぶ

子どもの脳の発達は、生まれた後に成長する割合が大きく、その成長を助けるのが遊びです。遊びは自発的に行われる活動です。自発的だから楽しいのです。子どもは自発的に何かに興味関心を持っている時、楽しく遊んでいる時に驚くほど深い集中力を発揮します。その集中力(ゾーンと呼ばれることもあります)によって、それまでできなかったことができるようになったり、驚くほどの知識を獲得します。特に遊びは深い集中力をもたらし、さらに極めてバラエティーに富んだ可能性を秘めた行動であることから、成功失敗によらず問題解決能力や実行力、協働の経験、失敗の失意から立ち直る力などの能力を身に着けることができます。遊びの中での失敗は失敗ではなく、うまくいくための試行錯誤の機会に変えられます。だからこそ子どもの自発的な遊びの時間をより多く与えることに努力したいのです。
このような遊びの力は、子どもだけに恩恵を与えるものではありません。生涯にわたって、大人にも必要なことです。「楽しい」ということなしでは心身ともに疲れてしまいます。逆に、楽しいと心から思ったときは、疲れを忘れて取り組んだ経験を持つ方も多いと思います。楽しい遊びがもたらす集中力の恩恵は、私たち大人にもあります。ぜひ、子どもと一緒に遊びを楽しんでほしいと思います。
子どもと一緒に遊ぶ際には、是非「大人の実力」を見せつけてあげるのも良いです。遊びの時は、面白さを感じさせるために子どもに華を持たせて「勝たせてあげる」ことも必要なことがあります。しかし、子どもたちの中には「大人なんだからできる」という前提があるのです。つまり自然に子どもたちは一緒に遊ぶ大人の姿に「お手本」を見つけているのです。だから、大人として実力をしっかりと「見せる」ことが色々な意味で重要になります。ちなみに、園長の私は、子どもたちにとって一番勝つことが難しいラスボスのような存在です。鬼ごっこでも、綱引きでも、登り棒でも、「競争」を挑まれたら手を抜かずに勝つことを目指しています。
外遊びであれば、身体能力の可能性を見せてあげることができます。自然をベースとした遊びでは、「危険」と「難しい」の境界線を示すことも大人の役目です。どんなことが「危険」になるのか、危険を予測すること、危険を避けるため判断。一方で危険とは異なる「難しさ」への挑戦、自分の限界を知ること、「もうちょっと」を頑張ること、出来たときの喜び、そういったことを子どもは大人の姿を通して獲得できるのです。様々なスポーツも将棋のようなゲームでも、大人の上手な体の使い方や、ゲームに勝つための方法を学び取っていきます。大人は「遊び」の大先輩であって欲しいのです。子どものために大人こそ「遊び」を楽しむことに熱心であってほしいと思います。

2019年04月11日