感情を抑えること、感情を伝えること

子どもの自己肯定感を育むということは、「自分は無条件で愛されている」という実感を与えるということです。そのために大切なのは、一時的な感情に振り回されて、子どもへの評価を変えないということです。
子どもと一緒に過ごしていると、いかに褒めて育てようと思っても、注意を与え、危険から子どもを守るために叱らなければならない場面があります。もちろん手を出すのは論外です。決してしてはいけません。そのためにも、叱る側が感情的になってはいけません。感情的になって怒鳴るのも同様に絶対に良くありません。緊急にストップをかけるために大きな声を出すことと、感情的に怒鳴りつけることは別です。緊急事態に大きな声を出して子どもにストップが伝わったなら、その後は感情的に怒鳴ってはいけません。叱るというのは、問題行動を止め、訂正を与え、正しい行動へと促すことが目的です。その目的に沿う最も最適な方法は、穏やかに論理的に説明することです。感情的に怒鳴ることは存在の否定につながります。
一方、大げさなほどに感情をあらわすべきなのは、子どもへの感謝です。「ありがとう」は相手の存在価値を認める言葉です。加えて、「とっても助かった」といった言葉を加えられると、子どもは自分が人の役に立っていること、人から必要とされる存在なんだと感じることができます。
もう一つ、感情をあらわすべきなのは、子どもを褒めるときと、子どもが褒められた時です。「うれしい」という感情を、子どもを褒めるときと、子どもが褒められた時にあらわします。これは子どもの誇りを高めます。褒めるときには結果ではなく、努力やプロセスを褒めるように意識します。子どもが何かに挑戦して「できた!」という時には、大げさなほどに喜んで褒めます。失敗したときにも、頑張りを大げさなほどに褒めます。決して、「がっかり」した顔や失望を見せないように気をつけます。
そして、おそらく日本人にとって大事なのは、子どもが褒められた時には「ありがとう」と素直に喜びをあらわすことです。「いやいや、うちの子はまだまだです」とか「普段はダメなのに、今日は頑張ったみたい」というような謙遜の言葉を聞きますが、それは褒めてくれた相手が聞くのと同時に、当事者の子どもが聞いていることが多いのです。実はこういった謙遜の言葉の中には子どもの自尊感情を損ね、自分に対する肯定的なイメージを損なう言葉が少なからず含まれています。ですから、褒められた時には謙遜するよりも、「ありがとう!」そして、「○○くん(ちゃん)も素敵!頑張ってるね」の方がいいと思います。褒められたらば感謝して「ありがとう!」そして褒めてお返しするようにしてはどうでしょうか。そうすれば謙遜する必要はありません。

2019年04月16日