感覚の優先傾向を知る

子どもから「~って何?」と聞かれて、答えに困ったという話をよく聞きます。分からないというより、どう説明すればいいのか困ってしまうということがあります。
先生としては、せっかく子どもが興味をもって聞いてきたので、正確に伝えようと頑張ります。その時に、ニュアンスで伝わる子と、厳密に正確な言葉の説明を求める子がいます。あるいは、答えを考えているうちに他に興味が移って質問を忘れてしまう子や、童話のような物語で説明されることを好む子もいます。
これは、「どんな感覚を優先的に認識しているか」という傾向と関係しています。
聴覚の感覚を優先する傾向があると、説明を「読む」よりも「聞く」を好みます。言語感覚が鋭敏ですと、新しいことと「意味」が結びつくことが重要になります。触覚が優先される傾向があると、手を動かすなどの動きがあると説明が理解しやすくなります。視覚を優先する傾向があると、書面や絵や図があると理解の際に大きな助けになります。これらは必ずしも一つの感覚が突出していたり、他の感覚が弱いというものではありません。あくまで、傾向があるというものです。
自分のことで恐縮ですが、私は視覚が優先される傾向にあるようで、理解の際には特に「書面」を視ることが大事です。必ずしも紙をめくる感触を必要とはしません。最近、電子書籍の優れた「読み上げ」機能を使ってみたのですが、どうしても集中できず内容が十分に理解できませんでした。聞くだけですと理解が困難になるようです。しかし、これが講演ですと、資料の書面がなくても講師を視て話しを聞くと理解できます。
自分や子どもの感覚の優先傾向を知ると、少し客観的に子どもとの距離を保って関わることがしやすくなるのではないかと思います。これはもちろん、大人同士の間でも同じです。一緒に仕事をしていて、「何でこの人とうまくいかないのだろう」というような時に、それは互いの悪意からではなくて、感覚の優先傾向がすれ違っているからかもしれません。ちょっと工夫するだけでコミュニケーションの結果はずいぶん変わるものなのです。

2019年08月02日